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睡眠と心

睡眠って心にどう影響するの?
「最近なんだかイライラする」「やる気が出ない」「気分が沈んでしまう」
そんな時、あなたはちゃんと眠れていますか?
実は「睡眠」と「心の健康」はとても深い関係にあります。
よく眠れた日は、気分も明るく、前向きに物事に取り組めるものです。
一方で、睡眠が浅かったり、夜中に何度も目が覚めたりする日が続くと、心もだんだんと疲れていってしまいます。
現代ではストレスや不安、不規則な生活リズムなどが原因で、睡眠の質が低下している人が増えています。
特に、就職活動中の方や復職支援を受けている方にとっては、眠れないことでさらに不安や焦りが増してしまうという悪循環に陥りやすくなります。
今回は、「睡眠と心の関係」について、わかりやすくお伝えしていきます。
自分に合った睡眠法を知ることで、心も体も少しずつ整っていくはずです。
睡眠不足が心に与える影響
私たちの脳や心は、睡眠中にしっかりと「メンテナンス」されています。たとえば、嫌な記憶を整理したり、感情を落ち着かせたり、学んだことを記憶に定着させるのも、睡眠の大切な役割です。
では、睡眠が足りないとどうなるのでしょうか?
1.イライラ・不安感が増す
睡眠不足になると、自律神経のバランスが乱れやすくなり、交感神経(緊張モード)が優位になります。これにより、ちょっとしたことでイライラしたり、不安になったりしやすくなります。
2.うつ状態を引き起こすリスクが高まる
厚生労働省の調査によると、睡眠障害を抱える人は、うつ病や不安障害を発症するリスクが高くなることが示されています(出典:厚生労働省「こころの耳」)。逆に、うつ病の症状が改善してくると、睡眠の質も良くなってくるという報告もあります。
3.判断力や集中力の低下
十分に眠れないと、脳の前頭葉という「考える力」「集中する力」を管理する部位の働きが鈍ります。その結果、仕事や面接、日常生活での判断ミスが起きやすくなります。
4.自己肯定感が下がる
寝不足が続くと、気分が沈みがちになり、自分を責める思考が強くなる傾向があります。これは「認知のゆがみ」が起こりやすくなるためで、物事を悪い方に考えてしまいやすくなります。
良い睡眠をとるためのコツ
では、心の健康を保つために、どのようにすれば「質の良い睡眠」がとれるのでしょうか?ここでは、すぐに実践できるコツをいくつか紹介します。
1.起きる時間を一定にする
睡眠の質を上げるためには、「起きる時間」を毎日できるだけ同じにすることが大切です。休日に寝だめをするのではなく、平日と同じ時間に起きて朝日を浴びることによって、体内時計が整いやすくなります。
2.寝る前のスマホ・PCは控える
スマホやパソコンの画面から出る「ブルーライト」は、脳を覚醒させてしまうため、寝つきが悪くなります。寝る1時間前にはデジタル機器を見ないようにすると、自然と眠りに入りやすくなります。
3.寝室を“眠るための空間”に整える
寝室の照明を暖色系に変える、エアコンで温度を快適に保つ、布団や枕を見直すなど、眠りやすい環境を整えましょう。お気に入りのアロマや静かな音楽を使うのもおすすめです。
4.眠れなくても「横になるだけ」でOK
「眠れない!」と焦るほど、かえって目が冴えてしまうものです。そんなときは、「眠ること」よりも「休むこと」を目的にして、横になって体をゆるめましょう。深呼吸や筋肉弛緩法(過去コラム参照)を取り入れるのも効果的です。
仕事のパフォーマンスを上げるための睡眠法
「寝る時間がもったいない」と感じている人もいるかもしれませんが、実は睡眠こそが「仕事や活動の質」を高めるカギなのです。
以下に、就労支援や復職準備にも役立つ、睡眠を味方につける方法を紹介します。
1.面接や実習の前日は「早めの就寝」
大切な予定の前日は、遅くまで準備をしてしまいがちですが、脳の働きを最大限にするためには、早く寝ることが最優先です。前日の夜は早めにお風呂に入り、スマホは控えめにして、脳をリラックス状態にしましょう。
2.昼寝は「15~20分」がベスト
日中どうしても眠気が強いときは、短時間の仮眠が効果的です。特に午後1〜3時の間に、15〜20分程度の軽い昼寝をすると、午後の集中力や気分が回復しやすくなります。ただし、30分以上寝ると逆に頭がぼーっとしてしまうことがあるため注意しましょう。
3.運動と睡眠をセットで考える
軽い運動(ウォーキングやストレッチ)を日常に取り入れることで、夜の睡眠が深くなりやすくなります。特に午前中の日光浴と軽い運動は、メンタルの安定と夜の快眠につながると多くの研究で明らかになっています。
まとめ:質の良い睡眠で心をリセットしよう
心が不安定なとき、私たちは「何か特別なことをしなければ」と考えることが多いです。でも、一番大切なのは、「よく眠ること」。しっかり眠るだけで、頭も気持ちも驚くほどスッキリと整います。
睡眠は、心の土台を整える“セルフケア”の第一歩。
忙しい毎日でも、自分の体と心の声に耳を傾けて、「質の良い睡眠」を習慣にしていきましょう。
心が疲れてしまったとき、まずは生活リズムを見直し、「眠る力」を育ててみてください。それが、あなたの明日への力につながります。
まとめ:質の良い睡眠で心をリセットしよう
「最近、気分が落ち込みやすい」「小さなことでイライラしてしまう」「何をしても前向きになれない」——
こんな心の乱れを感じたとき、多くの人は「自分に問題があるのかも」と思い込んだり、「性格のせいだ」と考えてしまいがちです。心の不調は、実は睡眠の質と深く関係していることが多くあります。
私たちが心身のバランスを保つために最も基本的で重要な行動のひとつが、「眠ること」。
しっかり眠ることができれば、脳と心の疲れがリセットされ、前向きな気持ちを取り戻すための準備が整います。特別な方法を試す前に、まずは「よく眠ること」ができているか?を見直してみてください。
睡眠は、心を整える“土台”になる
厚生労働省が運営する健康情報サイト「e-ヘルスネット」では、睡眠不足が続くと精神的ストレスへの耐性が低下することが明記されています。また、慢性的な睡眠不足はうつ病や不安障害の発症リスクを高める要因としても知られています。
夜にしっかりと睡眠を取ることができると、脳は日中に受けた情報やストレスを処理し、感情のコントロール機能(前頭前野)の働きを回復させます。その結果、ネガティブな感情が整理され、翌朝には「なんとかやれそう」と感じられるようになるのです。
つまり、睡眠は「心のメンテナンス」そのもの。睡眠が乱れると感情が乱れやすくなり、逆に睡眠が整えば、気分の浮き沈みも落ち着いてくるというわけです。
「眠る力」を育てることが第一歩
ただし、現代の私たちの生活は、スマートフォンやパソコン、照明、過密なスケジュールなどによって、自然な睡眠リズムが妨げられやすくなっているのが現実です。寝る直前までSNSやニュースを見ていたり、夜遅くまで食事や飲酒をしていると、脳はなかなか休むモードに切り替わりません。
そこで大切になるのが、「眠る力」を取り戻すための生活習慣の見直しです。
睡眠の質を高めるための基本習慣
- 毎朝同じ時間に起きる(平日・休日関係なく)
- 朝起きたら日光を浴びる(体内時計のリセットに効果的)
- 寝る90分前にぬるめのお風呂で体温を上げてから下げる
- カフェインやアルコールは就寝3時間前までに済ませる
- 就寝前はスマホやテレビを避け、静かな環境を作る
- 寝室の温度・湿度・照明を整える(暗く静かで快適に)
これらを意識するだけでも、眠りの質はぐっと高まり、朝の目覚めの爽快感、日中の集中力、気分の安定性に良い変化が現れるでしょう。
「眠れていないとき」は、心のサイン
心が疲れていると、眠りにも現れます。「眠れない」「夜中に何度も目が覚める」「朝起きても疲れが取れない」——そんなサインがあったら、心が「ちょっと休んでほしい」とメッセージを送っているのかもしれません。
そんなときは、頑張ることより、自分を「休ませること」に意識を向けてみてください。無理に前向きになろうとせず、まずは1日1回、ぐっすり眠ることから始めるのです。
一晩の良質な睡眠が、感情の揺らぎを和らげ、脳の混乱を鎮め、明日への活力を少しずつ取り戻してくれます。
忙しいあなたへ——今日からできること
「忙しくて睡眠に気を使っていられない」「余裕がない」そんなときほど、実は睡眠が乱れていて、それが疲労や不調の原因になっている可能性があります。
だからこそ、まずは5分でも10分でも「睡眠のための準備時間」を意識して作ることから始めてみてください。
たとえば:
- 寝る30分前はスマホを手放し、静かな音楽を聴く
- 枕元にお気に入りの香り(ラベンダーやカモミール)を置く
- 「今日はよくがんばった」と自分に声をかける
そうやって、心を「眠るモード」に切り替える時間を設けることが、眠る力を育て、心を守る第一歩になります。
おわりに
睡眠は、心を立て直す「静かな時間」です。
何か特別なことをしなくても、ちゃんと眠ることができれば、心は自然に回復していきます。
疲れたとき、落ち込んだとき、なんとなく不安なときこそ
まずは「ちゃんと眠れているか?」を、自分に問いかけてみてください。
「眠る力」を取り戻すことが、あなたの明日への力になってくれるはずです。
参考文献・資料
- 厚生労働省「こころの耳」:
- 日本睡眠学会『睡眠障害の診断・治療ガイドライン』
- 内閣府「令和4年度自殺対策白書」:睡眠障害とうつの関連
- NHK健康チャンネル「睡眠の質を上げる方法」
- 文部科学省「生涯学習と健康・体力」
- 厚生労働省「e-ヘルスネット|睡眠と健康」
- 日本睡眠学会『睡眠とメンタルヘルスの関係』
- 国立精神・神経医療研究センター『睡眠とこころの健康』