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復職支援とは?

「また働きたい。でも、ちゃんと続けられるか不安…」 「前みたいに無理して体調を崩したらどうしよう…」
そんな気持ちを抱えている方に、寄り添う支援、それが「復職支援」です。 心や体の不調から一度お仕事をお休みした方が、無理なく職場に戻れるよう、丁寧なサポートを行う仕組みが整っています。
復職支援とは
復職支援の目的は、「安心して働き続けられる力」を再び身に付けることです。 休職の理由はさまざまですが、多くの場合、体調が戻ってきたからといってすぐに元通りの働き方に戻るのは難しいものです。
復職支援では、生活リズムの安定や体調管理、負荷への対処方法、職場とのやりとりの練習などを行いながら、段階的に復帰を目指します。 「また働けるかも」と思える自信と、「もう無理しなくていい」という安心感を育むことが、目的です。
復職支援の特徴
- 生活リズムの改善や通勤練習など、復職に必要な準備ができる
- 対人技能やストレスマネジメントを身につけられる
- 主治医や支援者、企業と連携しながら無理のない復帰プランを設計
- 「がんばる」のではなく「自分らしい働き方」を見つけるための支援
単に「元の職場に戻る」ことが目標ではなく、働くことを前向きに捉えられるようになることが、復職支援の目的です。
復職支援(リワーク)と就労選択支援の違いは
比較項目 | 復職支援(リワーク) | 就労選択支援 |
---|---|---|
対象 | 休職中の方(過去に就労経験あり) | 就労未経験・ブランクのある方 |
目的 | 元の職場や職種への復帰 | 自分に合った支援サービスの選択 |
内容 | 模擬業務、リズム調整、ストレス対処 | 見学・体験・支援計画策定 |
支援期間 | 数週間~数か月 | 最大6か月 |
復職支援は、すでに職場とのつながりがある方が、再び働き続ける力を取り戻すための支援。一方で就労選択支援は、「どの支援が合っているかまだわからない」という方のための準備支援です。
復職支援(リワーク)の種類
復職支援(リワーク)には、さまざまな形があります。体調や状況に応じて、ぴったりの支援を選べるようになっています。ここでは代表的な4つの支援形態について、具体的にご紹介します。
① 医療機関で行われる「リワークプログラム」
精神科・心療内科の病院やクリニックで行われているデイケア形式の復職支援です。うつ病や不安障害などで休職している方が、職場に戻る準備を段階的に進めるためのプログラムとして提供されています。
このプログラムでは、医師・看護師・公認心理師・作業療法士など多職種がチームを組み、心理教育やグループワーク、軽作業訓練、ストレスマネジメントなどを実施します。プログラム内容は医療機関によって異なりますが、再発防止や生活リズムの安定、職場への不安の整理などを重視した内容になっています。
また、健康保険が適用されるため、比較的低コストで利用できるのも特徴です。主治医の紹介や診察を経て、参加できる場合が多いです。
② 就労移行支援事業所での「復職型プログラム」
障害福祉サービスのひとつである「就労移行支援」を活用し、復職準備を進める方法です。特に、職場を一定期間離れていた方が再び仕事に戻るための「復職特化型プログラム」を提供している事業所も増えています。
就労移行支援では、PC訓練や事務作業、報連相の練習、職場を想定したロールプレイングなど、より実務に近い訓練が受けられます。さらに、送迎サービスがある事業所や、訓練に対して工賃(お金)が支給されるところもあります。これは、経済的な不安を少しでも和らげながら準備ができるという大きなメリットです。
復職に向けて、徐々に生活リズムを整えながら、職場で必要となるスキルや心構えを確認することができます。
③ 地域障害者職業センターでの「職場復帰支援」
独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構が運営する「地域障害者職業センター」でも、職場復帰のための専門的な支援が行われています。
ここでは、職業カウンセラーやジョブコーチなどの専門スタッフが、個別に相談対応を行い、職場復帰の準備を支援してくれます。ハローワークや就労支援機関、医療機関と連携をとりながら、本人の歩調に合わせて支援計画を立てていくのが特徴です。
例えば、復帰にあたっての不安や配慮事項、職場とのコミュニケーションの工夫など、きめ細やかな助言が受けられます。中立的な立場での支援が受けられるため、「まずは客観的に話を聞いてほしい」という方にも向いています。
④ 企業内での「産業医・人事主導の復職支援」
勤務先に産業医や人事部門がある場合、会社側が主体となって復職支援を行っているケースもあります。特に大企業では「復職支援プログラム」や「試し出勤制度」などが整備されており、本人と会社との間で復帰のタイミングや業務内容の調整が行われます。
このような企業内支援では、産業医や保健師が中心となって、職場環境の確認や、段階的な復職スケジュールの作成、主治医との連携などを丁寧に進めていきます。必要に応じて短時間勤務や業務の軽減なども検討されるため、復帰直後の負担を抑えつつ、職場に戻りやすい仕組みが整えられているのが特徴です。
このように、復職支援にはさまざまな形があり、それぞれにメリットや特色があります。自分の現在地や状態、希望する働き方に応じて、無理の無い方法で「仕事への復帰」を目指していけるようになっています。
ご利用について
ご利用の流れ
- 主治医との相談で復職可能の判断を得る
- 支援機関(就労移行支援、医療機関など)に見学や相談
- サービス等利用計画案を相談支援専門員と作成
- 受給者証を市区町村へ申請
- 支援開始(週2日程度からスタートなど、段階的な訓練)
- 職場と復帰スケジュールを調整
- 復職後も定着支援などでフォロー
サービス内容
- 通所を通じた生活リズムの安定
- PC作業、ビジネスマナーなどの模擬業務
- セルフケアやストレスマネジメント
- 主治医や企業との連携支援
- 面談・グループワークを通じた自己理解
たとえば、「また体調を崩したらどうしよう」「職場でどう振る舞えばいいかわからない」など、復職に向けた不安に対して、一緒に考え、解決策を探っていきます。
対象者
- 精神疾患(うつ病、双極性障害、不安障害など)で休職中の方
- 医師の判断で復職可能となった方
- 復帰のタイミングや方法に不安がある方
- 働く意欲があり、無理のない形で復帰を目指したい方
雇用契約
復職支援中は、多くの場合「休職扱い」となっている為、雇用契約は継続中です。 ただし、職場との関係性や制度によって対応は異なるため、個別の確認が必要です。
利用料
就労移行支援の一環で復職支援を受ける場合、原則1割の自己負担があります。
所得区分 | 月額上限負担額 |
---|---|
生活保護世帯 | 0円 |
低所得世帯 | 0円 |
一般1(年収約300万円以下) | 9,300円 |
一般2(年収約600万円以上) | 37,200円 |
▶参考:厚生労働省 障害者の利用者負担
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/hutan1.html
工賃
基本的に復職支援に工賃の支給はありませんが、就労移行支援事業所の中には、訓練内容に応じて工賃が出る場合もあります。くわしくは各事業所へご確認ください。
年齢制限
原則18歳以上65歳未満が対象です。ただし、医師の判断や個別の状況に応じて、柔軟に対応されることもあります。
利用期間
数週間から6か月程度を目安に設計されます。 個人の体調や状況により変動するため、無理のないペースで利用することが大事です。
まとめ
復職は、決して「以前と同じように働く」ことを求めるものではありません。 「自分の体調や気持ちと相談しながら、どう働いていくか」を一緒に考えてくれる支援が、復職支援です。
ひとりで悩まず、まずは相談から始めてみませんか? あなたの再出発に、私たちはそっと寄り添います。
参考文献・資料
- 厚生労働省「精神障害者の就労支援対策」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411.html - 厚生労働省 「〜メンタルヘルス対策における職場復帰支援〜 改訂」
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/101004-1.pdf - 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
https://kokoro.mhlw.go.jp/return-to-work/data/e-learning.pdf - 厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」
https://www.mhlw.go.jp/content/000561013.pdf