Matchぷれいす

お役立ち情報USEFUL

就労移行支援とは?

障害のある方が一般就労を目指す際に、スキルや経験を身につけるための福祉サービスが「就労移行支援」です。
どんなことをするの?誰でも利用できるの?いったいいくらかかるの?
そんな疑問を解説していきます!

就労移行支援の目的

就労移行支援は、障害のある方が企業などの一般就労に向けた準備を行い、就職・職場定着を目指すことを目的とした福祉サービスです。
単なるスキル習得だけでなく、生活リズムの安定、コミュニケーション力の強化、自己理解の促進など、幅広いサポートが行われます。多くの事業所では、個別支援計画に基づき、本人のペースや体調に配慮しながら支援が進められます。

就労移行支援の特徴

就労移行支援は、単なる職業訓練の場にとどまらず、障害のある方が「自分らしく、無理なく」社会で働き続けていくために、多角的にサポートを行う包括的な支援サービスです。以下に、その主な特徴をわかりやすくご紹介します。

  • 個別支援計画によるオーダーメイド支援
    就労移行支援では、利用を開始する際に一人ひとりの障害の特性やこれまでの経験、希望する働き方や職種、さらには日常生活の状況まで丁寧にヒアリングを行い、その方に合わせた「個別支援計画」を作成します。例えばパソコン作業が得意な方には事務系の訓練を中心に、接客に興味がある方にはロールプレイや模擬販売の練習を取り入れるなど、目指すゴールに合わせて訓練内容を柔軟に調整していきます。
  • 無理のないステップアップ
    「働くこと」と聞くと、いきなりフルタイム勤務を想像して不安になる方も多いかもしれません。しかし就労移行支援では、体調や現在の生活リズムを考慮しながら、少しずつ無理のないペースで進めていくことができます。実際には週1日や短時間の通所からスタートし、体調や習慣が安定してきた段階で徐々に日数や時間を増やしていく利用の仕方も一般的です。これにより、安心してステップアップを目指すことができます。
  • 多職種によるチーム支援
    就労移行支援事業所には、職業指導員や生活支援員などの専門スタッフが配置されています。それぞれの立場から就職に必要なスキルや日常生活の支援を行い、多角的な視点で利用者さんを支えます。また事業所によっては臨床心理士や看護師などが在籍している場合もあり、必要に応じてメンタル面のケアや健康面でのサポートを受けられることもあります。さらに医療機関や地域の福祉サービスと連携し、より安心して通える体制を整えているのも特徴です。
  • 就職後の定着支援
    就労移行支援の大きな特徴として、就職して終わりではなく、その後の「定着支援」に力を入れている点が挙げられます。就職後もスタッフが職場を訪問したり、企業の担当者と連絡を取り合ったりしながら、仕事上の課題や人間関係の悩みが大きくなる前に対応できるようサポートを続けます。また利用者さん本人とも定期的に面談を行い、心身の状態や職場環境に問題がないかを確認し、長く安定して働き続けられるように支援を行います。

訓練内容(例)

事業所により内容は異なりますが、以下のような実践的かつ就職に直結するプログラムが提供されています。

① 職業訓練(実務体験)

内容目的
データ入力・書類整理事務職の基礎スキル習得
軽作業(封入・検品・清掃)作業能力・集中力の向上
商品管理・PC作業補助現場感覚の習得

→ 実際の職場に近い環境でスキルを身につけます。

② PCスキル訓練

内容スキル例
Word・Excelの基本操作文書作成・表計算・関数など
ビジネスメール作成社会人としての文章力習得
タイピング練習作業効率アップ

→ 初心者でも基礎から丁寧に学べます。

③ ビジネスマナー・社会人基礎

内容習得力
あいさつ・身だしなみ・時間管理社会的信頼の構築
電話応対・名刺交換対人スキルの向上
報・連・相の実践職場での円滑な連携

→ 模擬練習で実践力を育成します。

④ コミュニケーション・自己理解

内容目的
グループワーク対人関係の練習・協調性の向上
自己分析・職業適性強みや適職の整理
ストレス対処法の学習長く働くためのメンタルケア

→ 精神的な安定や自信の獲得にもつながります。

⑤ 就職活動の支援

内容支援内容
求人検索・企業見学ハローワーク等との連携
履歴書・職務経歴書作成一人ひとりに合わせて添削
面接練習・模擬面接実践形式で自信を養成
障害特性の伝え方配慮事項の伝え方をサポート

⑥ 定着支援(就職後)

内容実施方法
定期的な面談・訪問職場での困りごとの早期発見
企業との調整働きやすい環境づくりを支援
通院・生活支援長期就労のための基盤整備

→ 離職防止と長期就労のための支援です。

他の福祉サービスとの違い(就労継続支援との比較)

項目就労移行支援就労継続支援(A型・B型)
目的一般企業への就職継続的な作業の提供
雇用契約なし(訓練)A型:あり / B型:なし
工賃原則なし(一部事業所で手当あり)工賃支給あり
利用期間原則2年(最長3年)制限なし
対象一般就労を目指す障害者雇用が困難な障害者

利用の流れ

  1. 相談・見学・体験
  2. 市区町村へ申請
  3. 受給者証の発行
  4. 利用契約・個別支援計画の作成
  5. 訓練・就職活動・定着支援開始

対象者

  • 18歳以上65歳未満
  • 身体・知的・精神・発達障害、または難病のある方
  • 障害者手帳の有無にかかわらず、医師の診断がある方
  • 一般就労を希望する意欲のある方

利用料金(自己負担額)

世帯区分月額上限
生活保護・非課税世帯0円
一般世帯(年収約600万円以下)9,300円
上位所得世帯(年収900万円超)37,200円

工賃・報酬について

  • 原則として工賃は支給されません。
  • 一部の事業所では、成果や参加意欲を評価した少額の手当支給があることもあります。

利用期間について

  • 原則2年間
  • 医師の意見や就職準備の進捗により、最長3年間まで延長可能

まとめ

「働きたいけど不安がある」「何から始めてよいかわからない」
そんな方にとって、就労移行支援は“働くための土台づくり”ができる場所です。
一人ひとりに合わせた無理のないペースでのサポートが受けられ、就職後も定着支援が受けられるため、安心してステップアップできます。

「働く」ことは、ただ生活のためだけではありません。
「自分らしさを見つける」手段でもあります。
働き方に正解はありません。あなたに合った働き方が、きっとあります。

だからこそ、一歩を踏み出すのが怖い時も、そのままで大丈夫。
不安や戸惑いを持ったままでもいいんです。
私たちは、その思いごと受け止めて、一緒に歩みを進めていきます。

もし今、働くことに迷いや心配があるのなら、ぜひ一度、足を運んでみてください。
話すだけでも、何かが変わるかもしれません。
ここには、あなたを待っている人がいます。

 まずは気軽に事業所に相談し、見学や体験から始めてみましょう。

参考文献・出典元

  • 厚生労働省|障害福祉サービス等の概要
  • 厚生労働省|就労支援関係資料
  • 厚生労働省|障害福祉サービス利用者負担について
  • 公益社団法人日本障害者リハビリテーション協会|障害者支援制度ガイド
  • 千葉県「障害福祉のしおり」